どんだけ青天の霹靂やねん

2018年9月14日金曜日

加瀬弁護士は、接見室の仕切り越しに、固まった笑顔のままで、「やっと会えたね、大変だね」と言った。

「先生には、伊富士弁護士の件で、ご迷惑をおかけしました」そう答えると、

「もういい、もういい、その事はわかった。私が伊富士弁護士に、何をしてやったか知ってるね。謝罪文を書かせて、父親弁護士と一緒に詫びを入れさせた。その結果、あいつは事務所を出されて、一人事務所になってる。本来なら、あいつこそ、そっちにいてもおかしくない」

と、勝者であるという風を吹かせてみせた後、案の定、トカゲの尻尾切りの話を切り出してきた。

「来週18日に、金井先生の公判が始まる。またマスコミが押し寄せる。その時に、君が起訴されたら、同じ上杉病院グループから2人の犯罪者が出る事になって、マスコミが殺到する。病院は、多大なダメージを受ける事になる。

そこで、退職届を持って来た。

2枚あるから、この後また検事調べが始まった時、検事の目の前で、退職届を書いて、1枚を、検事に渡しなさい。

もし検事に渡せないなら、拘置所の所長に掛け合って、コレを中に入れさせる。最近、法律が変わりやがって、面倒なんだよな。でも所長に言って入れるから、書いて出せば、連休明けの火曜日に、検事に放り込んでおく。

君が違法性を知らなかったのは仕方がない。しかし医者として、落ち度があるよね。だから君は、検事の前で[責任取って医者を辞めます]と言って書くんだ。

そうすれば、反省の意思を表明できて、情状酌量もされるだろう。それに、君の両親は、社会的地位が低いから、君が起訴されても、保釈の身元引受人にはなれないよ。