ところが、哀愁を帯びた青白い顔に、どことなく張りが見えない。

ただ、有三が親友の働く職場の上司ということもあってか、終止、丁寧な応対で笑みを絶やすことはなかった。夫人の語りを通して感じたことは、彼女は明子から教わったというゴミ処理場の老人の功績を最終的に認めてはいないということ。

それは、優菜が疑問を呈したように、失せ物が見つかるまでの過程と、相談に行った時間との関係に納得がいっていないのが理由であるらしかった。しかし、当時、窮地に立たされ、絶望感に打ちひしがれていた夫人に、一条の安堵の光を差し与えたのは間違いない。

多少の疑わしさを残すところではあったが、とにかく今は、現状の打開に向けて、どのようなことだってやってみる、そう自分に言い聞かせて、有三は社長宅を出た。そしてその足で、夫人が訪れたゴミ処理場へと向かったのだ。

食堂での明子と優菜の会話から予想はしていたものの、灯台下暗し、とはよく言ったもので、夫人が明子から教わったという場所は、やはり彼が役所に通う道すがら毎日眺めていた、あの異様な大煙突がそそり立つ怪しげな場所に相違なかった。

そういえば、道路から分け入った休耕地の一角で、ゴミの分別をしていた老人を何回か見掛けたことがあった。