2.本論
2-4 公共職業安定所の手話通訳者(手話協力員・職業相談員)の動向
3)垰田(2016)は、「公共職業安定所の手話通訳者(手話協力員・職業相談員)の動向」について、以下のように述べている。
公共職業安定所は2015(平成27)年現在で全国に544 カ所あり、全通研支部の調査では279人の手話協力員が設置されている。手話協力員は1973(昭和48)年より「手話協力員設置要綱」に基づき雇用され、来所する聴覚障害者への求職相談や転職相談、職業指導、各種手続きにおける手話通訳を行っている。
さらに、聴覚障害者へのコミュニケーション支援だけでなく、入れ替わりが早い公共職業安定所職員の聴覚障害者理解を促すと同時に、職場定着指導においても企業に理解を求め、聴覚障害者の雇用、職場定着を支援している。
しかし、2006(平成18)年から設置時間数が月8時間から7時間に減らされ、あわせて1時間あたりの報酬も減額されるという措置がとられた。全日本ろうあ連盟は、これに対して「手話協力員制度の予算を増やし、稼働時間の増加を図る」ことを毎年厚生労働省に対して要望しているが、今日まで改善されていない。
また、手話協力員とは別に公共職業安定所には職業相談員が雇用されている。週4日の勤務で、職業相談や就労後のアフターケアを業務とするが、なかには手話通訳を主要業務として雇用されるケースがある。
以下は、3)『雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態調査― 2015年10月調査―』が実施された際に、調査対象者から寄せられた自由記述の内容である。