2.本論

2-4 公共職業安定所の手話通訳者(手話協力員・職業相談員)の動向

手話通訳業務についての困りごと・悩みごとについて

・1カ月7時間では午前のみの業務となるため、午後来所される方の手話通訳ができない。もっと業務時間を増やしていただければと思います。

・ハローワークでの手話協力員として週1回1時間45分では足りない時もある。聴覚障害者の相談にかかる時間がまちまちである。何人かが一度に来て重なる時もある。

・長く同じ場で手話協力員として勤務しているため、聴覚障害者の就労に関しての問題等は把握しやすくなったが、その反面、公共職業安定所に関わっていない手話通訳者からは就労問題が見えにくくなってしまっているのではないだろうか。次の人と交代し、いろいろな手話通訳者も状況が見えるようにし、聴覚障害者にとってもハローワークが社会資源のひとつとして利用できるようにしなくては…とは思う。

・就職後に聴覚障害者が、ハローワークに来ることはほとんどありません。こちらから出かける業務がしたいです。ジョブコーチの資格を手話協力員がとれるようになりませんか。

2-5 登録手話通訳者とは

山形注1(2008)は、「登録手話通訳者とは」について、以下のように述べている。手話通訳にかかわる施策として、厚生省(現・厚生労働省)は1970(昭和45)年に身体障害者社会参加促進事業の選択項目として手話奉仕員養成事業を加えた。これを契機に手話教室が各地で開催されるとともに、手話サークルが結成され手話に対する市民の関心が高まった。

そして、1973(昭和51)年には手話奉仕員派遣事業が加えられた。1995(平成7)の市町村障害者社会参加事業により、市町村において手話奉仕員の養成・派遣、手話通訳者の養成・派遣・手話通訳設置ができるようになり、手話奉仕員と手話通訳者の養成に関わるカリキュラムが整理された。

現在では手話通訳者養成については都道府県地域生活支援事業として、また手話通訳者設置・手話通訳者派遣については市町村地域生活支援事業として、2006(平成18)年度から施行された障害者自立支援法のもとで事業が行われている。