第一部 銀の画鋲
エピローグ「この世の果て」
黒い森に行くつもりで、僕はワルツさんを振り返った。
ワルツさんは僕を抱き上げ頬ずりをした。
ワルツさんは何か言いたげだった。カトリーヌは一緒に来たがった。
だけど、僕はひとりがいい。
それに今日はひとりで行かないといけない。
ずっとこのところ僕は変だった。
黒い森にいる時に一番幸せを感じていた。
黒い森で生き物の死骸は土の中に埋もれたまま、腐っていく。
僕はその上を平気で歩く。
その時に僕は思う。
僕は僕でいいって。
そうだろ、カトリーヌ。