ねちねちと一時間近く上司のお説教が続き、終わったころにはもう退社時間を過ぎていた。ひたすら頭をさげ、反省文を書いて提出すると、A4の紙いっぱいに反省の言葉を書き連ねろと言う。余白があってはならないと返された。もう泣きたかった。

やっとのことでロッカーに戻ると先輩社員から「やっちゃったわね」と声をかけられる。

「クレーマーはよくいるからしょうがないわよ」と慰められた。

そして「前から思っていたけれど、あなたには派遣じゃない道もあるんじゃないの? 雰囲気も上品だし、なんだか私たちとは違う世界の人っていう感じがするのに」と言われた。

なんでそんなことを言われるのかわからなかった。じゃあどうすればよいというのか。気分はどん底に落ちていた。

それでも走って帰り、買物をして、急いで夕食を作り座ったところでどっと疲労が押し寄せた。家族は何も言わずにさっさと食べ、部屋に入っていった。

お皿を洗いながら自分だけがかわいそうな気がして情けなかった。洗濯物をたたみ、お風呂をわかして、片づけ終わるともう夜中だった。

明日も早い。眠らなくては……疲れた。ほんとうに疲れていた。

(どうして私がこんな目に遭わなきゃいけないのかしら)と考えながら眠った。

【前回の記事を読む】四十歳を過ぎてもマイホームも持たない団地妻になっているとは思わなかった…想像していたのは左ハンドルの高級車に乗って名門小学校に子供を送り迎えしている自分だった

次回更新は6月18日(火)、21時の予定です。

 

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