友人同士でお金を集めて新築祝いに時計やフランス製のお鍋を贈ったりした。そんな会に何度呼ばれたことか、贈るばかりで自分に返ってくる見込みもなかった。まして自分の住む団地の狭い部屋に友人を呼べるわけがなかった。

最近はホテルのビュッフェなどで女子会をすることが多くなりランチで三千円とか五千円とか払えるわけがなかったし、そのために仕事を休めばパートの給料が減るばかり。

ここ数年は足が遠のいていた。

ある日の仕事中、顧客からの電話対応をしていて、なぜか相手が急に激怒し出した。質問に対して「もちろん大丈夫でございます」と言った一言に切れ、「わからないから聞いているのにもちろんとは何事だ、ばかにしているのか」と怒鳴りはじめ、挙句に電話を切られた。

そのときはショックだったけれど、まぁいろんな人がいるから、と気を持ち直して仕事を続けていると、午後になって上司から呼ばれた。

本社のお客様相談センターにクレームが入ったという。さっきの客だ。すぐ上を出せ、と言うタイプのヤツだった。

本社に入ったクレームには「対応が早口だった。昼が近かったから早くご飯を食べたくてさっさと電話を済ませようとしたに違いない」と怒っているという。

いえ、そんなことはありません、と言ったところでもう遅い。本社にクレームが入った時点でもうアウトなのである。