秋山良は、小学三年の時、大手商社のIT部門分析者である父の異動により米国シアトルに家族で移り住んだ。

良は、父の影響もありMITを優秀な成績で卒業し、スターファイブCoのスカウトを受け入社、背が高くしっかりした身体つきで歌舞伎役者のような風貌をした、母親が大好きな青年だった。

スターファイブCoのメンバーは皆、利き腕と反対側の肩へマイクロチップが埋め込まれており、何処に居ても衛星通信を通じて、本人の所在が分かるように成っていた。

東京駅へ着いて、再度丸田の位置を確かめると東京駅八重洲口を示していたが、凄いスピードで海側の方へ動いていた。良は小走りで八重洲中央出口の方へ向かうと、其処にタンカを持った駅員と白い手袋をした駅員の二人が立って先の方を見つめている。

良は、直ぐタンカを示しながら、

「何か有ったんですか?」

と駅員へ聞いた、駅員はびっくりした顔をして、

「今、意識の無い方を救急車で送り出したところです!」

良は、

「私の友人の可能性が有るので直ぐ追いかけたいのですが、何処の病院へ連れて行ったかお分かりですか?」

と聞いた、駅員は、

「お宅はどなたですか?」と聞いてきた。

「京葉線に乗っていた仲間とメールでやり取りしていたら急に応答が無くなり、何か有ったのかな?と思って、電話したのですが全く応答が無く、急いで京葉線ホームへ行くところだったのです……」と答えた。

駅員は、

「そうですか」

と言いながら、

「残念ながら、殆ど息をしていませんでした。原因は分かりませんが、多分救急車は、東京国際病院に向かったと思います」

と話してくれた。

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