USA、ワシントン
「ボス! 譲二のセーフティリングに異常が出ました!」
「何! 今の場所と異常のシグナルをダブルチェックしろ! 東京の支援スタッフへ直ぐ【コードイエロー】を出せ!」。
一体何が起きたんだ?
そんなに厳しいミッションをしている訳ではないし……東京は世界でも指折りの安全な都市の筈なのに……。
CIA外局、スターファイブCoのリーチCOOはそう言いながら何か一抹の不安がよぎるのを抑え切れなかった。
新宿に居た秋山良は、一仕事を終え、駅西口に有るシチューの店『ヤマグチ』で遅い夕飯に、美味しいタンシチューを食べている時だった。
腕時計が「チン・チン」と音を出したので急いでスマホを取り出し、【コードイエロー】を確認し直ぐ店を出て、丸田へ連絡を入れた。
呼び出し音だけで何の応答も無かった。良は丸田の現在位置をスマホで確かめると東京駅に向かう京葉線で移動している。
会計を済ませ、店を出た良は、急いで新宿駅に向かい、中央線特別快速で東京駅に向かった。車の中で今朝の丸田との会話を思い出していた。
丸田は今日、千葉のワンハンドレッドヒルズと言われるビバリーヒルズ風の邸宅街へ人を訪ね、其処で預かり物を入手し、帰りに千葉で食事をして帰るようなことを言っていた。
そんなに難しい仕事ではなく危険は全く無い!と言っていた筈だが……。
しかし【コードイエロー】とは丸田が意識しない様子の中で、腕のブレスレットが外れたか……外された……ということか! 一体、何が起きたんだろう?
確か、中央線ホームから京葉線ホームへは、東京駅の端から端だな、と考えていた。何れにしても直ぐ会える! と思った。