2018年9月14日金曜日
朝から[検察調べ]のため、大阪地検に移送されて、篠田検事の取り調べを受けていた。
検事は、常に紳士的な態度で、僕の話を聞いてくれた。
彼は、言外 (げんがい)の思いも瞬時に理解し、それを声に出してスラスラと文章化する。素晴らしい能力だ。
それを、岡野事務官が、ほぼ同時のスピードで、黙々とキーボードに打ち込んでゆく。
僕は、打ちひしがれつつも、彼らの見事な連携プレーに感心していた。
2人とも、30代半ばか……僕と同世代だ。
3人3様の人生やなぁ~と、自虐的な気持ちになり、胸の奥がしくしくと悲しみに疼いた。
その時、検事のデスクに置かれた電話が鳴った。
[親から委任されたという弁護士が、接見に来た]とのことだった。
杉井弁護士でも佐田弁護士でもないらしい。親が、また誰か新たに依頼してくれたのだろうか……。
[弁護士から申請があると、検事調べ中であっても中断して接見させなければならない]というルールがあるらしい。ココだけは、文明国だ。
検事は、速やかに僕を、接見室に移した。
ほどなくして、色の黒い小柄な中年男性が入って来た。髪の毛も目も、黒々としている。
彼は、濃い顔に貼り付いたような作り笑いで、「やっと会えたね、弁護士の加瀬だ」と言った。
そう言われて、ようやくわかったが、僕はなおさら混乱した。
「え? 何でうちの親が、加瀬弁護士に委任なんかするんや?」