なかなかいい写真だ。初めて遊んだネパールの仲よし兄弟。「サンキュー。ナマステ(さようなら)」と言って別れた。
人懐っこくて、英語が自然に使える子どもたち。日頃から観光客に慣れているのだろうか。ある意味、感心しながら広場を後にした。そして、ネパール語の「ありがとう」さえも知らなかった自分が情けなかった。
二人の兄弟に出会うまでは、体は寒くないが手先が冷えてかじかんでいた。やはりカトマンズ盆地は内陸性気候のため、朝夕の冷え込みは厳しい。でも、いっしょに遊んだおかげで、手先も足先もほかほか。そして心もぽかぽかになった。
探していたもの
ホテルの近くのタメル地区は、カトマンズの中ではやや高級な店が多いところだ。特に、観光客向けの店がたくさんある。
スワヤンブナートからホテルに帰り、その後一時間ほど、友人と私は別々に買い物をすることにした。私は迷わず楽器が置いてある店を探す。
ネパールの代表的な楽器といえばサーランギー。写真でしか見たことがないが、木をくり抜いて作った胴の形はピーナツ型でかわいらしく、動物の皮が貼ってある。ウクレレくらいの手頃な大きさの弦楽器だ。
バイオリンと同様、四本の弦を弓で擦って音を出す。しかし、どのように演奏をするのかは実際に見てみなければわからない。ホテルに近いところから探すことにした。
一軒目、かなり小さなサーランギーの値段は八〇〇ルピー。よく見ると、弓の造りがかなりいい加減で、針金のような弦は四本とも同じである。どう見ても置物だ。
五〇〇ルピーまで値を下げてくれたが、本当の楽器ではない。買ってくれとばかりにすがるように勧められるが、丁重に断って店を出た。
その後いくつかの店に寄るが、笛と太鼓ばかり。サーランギーがあっても、さっきの店と同様、置物用だ。しかし、ついに楽器専門店を見つけた。
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