携帯電話で見せた被災画像に店員は驚きの反応、イギリスのテレビでも報道されていた光景に見入っていた。英語を話せない自分は日本語で状況を伝えようとしていた。しかし通じたのは「つなみ」だけだった。

しかし、1か月経った後では、報道も思ったより少なく感じた。ニュースになっても、観光地に募金箱が置かれていても、結局他国の出来事にしか思われていないように感じた。悲しかった。

津波は自分にとって昨日の出来事である。宿泊したリバプールのホテルは海に近く、頭の中では津波の映像が繰り返され、睡眠は浅かった。イギリスにとっては、地震も大津波も原発事故も、体験しない限り遠く離れた国の出来事。興奮しているのは自分だけかもしれない。

イギリスの風景は被災地と真逆の穏やかさである。観光に訪れていた別の日本人とすれ違っても、笑顔や会話はなく、どこかぎこちないように思えた。

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