Chapter1 東日本大震災

福島原発

3月12日夕方に福島第一原子力発電所で水素爆発が起こったとラジオニュースで知る。

14日、知人より「緊急連絡：雨に濡れないように」とメールが入る。発信元は定かでないが関東圏からのチェーンメールのようであった。当日は曇り一時雨の予報で、福島で起きていた原発で雨と一緒に降る放射能を予見してのことだった。

国の発表はない、マスコミの報道はない。科学的に予見される内容は、注意喚起もなく事実でないのか？　何も知らされない。知人に緊急連絡メールを伝えるとニュースでは報道されていないとはねのけられた。

この時、国やマスコミに対して猜疑心を抱いた。停電の中、得られる情報は残り少ないバッテリーの携帯電話と、残されたガソリンで動く車のカーテレビからのみ。伝わってくる福島原発の被害状況は断片的で、今何が起きているのか確認のしようがなく、想像するだけだった。

チェルノブイリ原発事故を思い出した。ここは福島第一原発から85kmの遠隔距離、放射能は100km越えたと聞いている。避難するにもどこへどのように移動すべきか。

仙台まで放射能の飛散はないだろうと思われる報道。しかし結果的に宮城県北部栗原市150km先まで飛散していた。福島原発現地の人はどこへ移動しているのか、頭の中では映画で見たようなパニック映像を繰り返すだけだった。弊社には岩手から北茨城までの沿岸部に60店舗のお客さんがいる。建物崩壊、津波被害、原発災害とどうなっているだろうと不安だらけであった。

この日から復興活動を始めた。詳しくは後の章で説明する。