二人はワイングラスを軽く合わせる。すると有田はそのワインを一気に飲み干した。
「おいおい、今日は非番なんだしあまり無理するなよ。でもこのワイン、いけるだろ?
この店一番のおすすめなんだ」
「ホント、このワイン美味しいですね! 一気に飲んじゃった」
有田はワイングラスを置き、下をペロッと出した。
「ここはワインだけじゃなく食べ物も美味しいんだよ。おすすめのパスタも頼んどいたからそれも食べてくれ。ほら、ワインもどうぞ」
「はい、ありがとうございます」
佐伯は有田のグラスにワインを注ぐ。
「課長、聞いていいですか? 課長は刑事課を希望したんですか? 噂だと、課長は警務部一筋の人だとか」
「警務部一筋なんて、なんかカッコ悪いな。この配置は上層部のご意向だよ。捜査経験のない幹部に刑事を経験させるための施策だ。自分に刑事課長なんか務まるのかどうか不安だけどね」
「そうなんですか。なんか課長って大変ですね。でも課長なら何でもできそうだから心配いりませんよ」
「そう言ってもらえると嬉しいね。来たぞ、このパスタも美味しい」
佐伯は店員が持ってきたパスタを有田の取り皿にとってあげた。
「ホント美味しそう! いただきます」
有田は早速パスタを口にする。
【前回の記事を読む】県警のエース、昔堅気の刑事に手こずるなか検討という名の命令により得た味方とは!?