我輩は清掃人じゃ

3.安住隆史との邂逅・第二段階突破?

そうこうするうち、午前の労働は終了し、お昼休憩じゃ。食事は綺麗な環境でできるものと安易に考えていたのじゃが、ビル内の小汚い部屋が用意されており、控室に使えとの旨が伝えてきてある。安住はどうするものか、気になってはいたものの、弁当を持参していたのじゃ。

我輩は、今朝食べた残り物を持ってきたので、食欲旺盛な我輩は、午後のお仕事に負けんよう、胃に流し込んだ。

「お主、その弁当、母上が作ってくれたのかの?」

「まだ、母ちゃんと一緒に住んでんだ。母ちゃんが病気で、俺がこんなとこにでも働いてないと、生活していけないからね」

安住はあれでも優しい性格のようじゃ。やたらと母上の話題をすることは、一般には甘やかされているようでも、親子愛に燃えているようじゃ。

「ところで大人さん。そのスエットパンツ、あちこち染みができてたり、傷んでて、お尻がテカテカに光ってますよ。洗ってないっしょ?」

この会話の内容に、正直、我輩は、驚愕したのじゃ。あれほど優しい少年じゃと心が潤っておったのに、我輩の感覚的な悦楽が、もろくも崩れ去っていったのじゃ。

「我輩は清潔じゃから、頻繁に洗う必要などないのじゃ」と主張すると、「洗わなけりゃ不潔ですよ」などと言いがかりをつけてくる。

「清潔じゃから洗わないのじゃ」

「洗わないこと自体が不潔なんですよ。臭くてしゃーない。洗濯機を月五万円でレンタルさせてあげましょか」