初日は、こんなていたらくじゃった。水で満杯のバケツをひっくり返しても、安住が片付けてくれたし、階段の上り下りや、屈んでの床磨きなど、意外とやっていけそうな感覚が掴めたようで、食事や睡眠を十分に取っておればと、一安心したのじゃ。

時給が低くとも、ナンボのもんじゃい。お金の問題ではないのじゃ。明日はついにトイレ掃除を伝授されるのじゃ。手が馬糞の臭いに包まれたら、どうすればいいのかの。何じゃこりゃあっ、と絶叫すればいいのかのう。

4.第二の邂逅・第三は運命の女性の苦難?

疲労しながら帰宅を急ぎ、チャリンコキコキコし、アパートに着いた。我輩は障がいを理由に、一階に住まわせてもらっておる。チャリンコを通路に片付けようとしておると、何やら黒い物体が、即座に移動した。

不気味じゃな、猿かと思い、身構えたところ、我輩の部屋のドアの前で、動きが止まった。猿ではなく蛇かとも思ったのじゃが、よーく見ると、捨てられたばかりなのか、甘い声で、にゃーんなんと囀っておる。めんこいのう。子猫、それも黒猫じゃ。

どなたかがこの辺に置き忘れたのか、捨てていったのかわからんが、ドアを開けると、走りながら入っていった。我輩は笑いが止まらず、愛を供給してくれる価値観を見出したのじゃ。これも愛。動物愛。

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