二回目は、フェミニズムの集会だった。有富英子(ありとみひでこ)という中年女性の講演があった。

フェミニズムについては、黍良にいた頃から、いろいろ聞いたり読んだりしていた。

女も大学へ行きたいとか、仕事をしたいとか、結婚相手は自分で選びたいとか言っていて、世の中にはこんな悩みもあるのかと思った。

わたしは勉強がきらいだったし、働きたくて働いているわけではない。結婚相手にしても、選べるほど候補者がいるわけでもない。

有富さんは身なりも言葉づかいも上品で、いかにも賢そうな人だった。わたしの村のどの男よりも、恵まれた人生を送っていそうだった。

彼女の話は、女も政治に参加しましょうとか、社会活動を通じて人生をより豊かなものにしましょうとか、きちんと自分の意思を持って生きることが大切だ、といったものだった。

社会のせいにするだけではなく、まず自分自身が努力しましょう、という有富さんの話は、わたしにもすんなり納得できた。

わたしは女に生まれてよかったとは思わないが、村の男たちを見る限り、男に生まれればよかったとも思わない。

なんといっても、男には兵役の義務がある。

八年前にフルグナと戦争になったとき、わたしの村からも、出征するお兄さんたちがいた。

その壮行会でわたしは万歳をしながら、内心密(ひそ)かに、「男に生まれなくてよかった」と思った。

戦場で戦うなんて、考えただけで恐ろしい。戦場へ行く義務を免除してもらえるなら、多少権利はなくてもかまわない。