通信カラオケ参入
カラオケの先生が「平瀬の歌はカラオケで歌える歌が無い。演歌が無い。演歌は作れないんじゃないか」と陰で言っていると歌好きの友が教えてくれたとき、ムッときた。よくぞ言ってくれた。一遍、これが平瀬の演歌だという演歌をぶつけてやると発奮した。
それから一年後に本格演歌の『宿り木情話』のテープとCDができた。関西方面で活躍の歌い手、大林幸二君が、京都府立文化芸術会館で『宿り木情話』発売記念コンサートを催し、私も京都まで招待された。
その後間もなくレコード会社から、大阪有線へ楽曲使用許諾書を送るように言われ、半信半疑であったが、一ヶ月後に『宿り木情話』が有線の通信カラオケに参入し、全国のカラオケBOXで歌えるようになったのである。
平成九年一月の配信当日は会社を休んで、家内とカラオケBOXへ確認に行ったものだ。映像が出たとき、題名と共に作詞・作曲で私の名前。その当事者が今ここにいる、大きな感動であった。
これまでの活動が、一挙に報われた気持ちになったものである。これはあの陰口のお陰であり、「ありがとう」と言いたい。逆に誉められていたら、この世に無かった歌かもしれない。
カラオケの先生とはしっかり仲よくなり、遊びに行き来するほどになった。陰口は関心のある証と捉え、奮起すればよい。体一つで物事に立ち向かうには、情熱と勇気、これが一番大事。私が体当たりした実感である。