そしてこの武藤党首の発言は思いがけない現象をもたらした。告示直前に多くの保守系無所属の地方議員が『日本民主保守党』への入党を申し出てきたのだ。
その中にはこんな意見があった、それはある県議の発言なのだが、
「我々は、支持者の中に公務員関係者や労働組合に所属している人等を慮って、私自身は与党の党員として登録していますが立候補の際は敢えて保守系無所属を名乗っています。
その上で正々堂々と個人名を記入して貰って当選を果たしているのに、衆議院議員選挙になると党名を書いて貰って国会議員をして居ながら、上から目線で「票を集めろ!」「お前の後援会をフル稼働させろ!」「俺が落選したらお前らも干すぞ!」等と恫喝紛いの言動を発せられました。
そんな訳で候補者には尊敬の念など抱ける訳もなく、『ちゃんと日頃から選挙活動して小選挙区で堂々と当選を果たせよ』と言いたいことがしばしばで、衆議院議員選挙の度に憤懣やるかたない気持ちでいっぱいでした」と衆議院議員選挙における地方議員の心境を詳細に語ってくれた。
また、あるまだ若い四〇代前半の二期目の県会議員は、
「私の祖父の時代は中選挙区制の下で、同一政党から複数人立候補が可能でしたから県会議員として研鑽を積み、国政へ進出という道があったのですが、小選挙区制のもとでは、公募や中央から候補者を押し付けてくる落下傘候補で選挙を強いられる為、若い県会議員のモチベーションが上がりません。そんな訳で中選挙区制の復活は大歓迎です」と話してくれた。
これらの話を聞いた武藤は、地方議員の中に現在の衆議院小選挙区比例代表制選挙という選挙制度に不満がくすぶっていた事を改めて知らされた。
告示三日前になるとマスコミは一斉に日本民主保守党の小選挙区立候補者に、本当に比例区に重複立候補しないのか? と確認して回った。
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