第一章 「100年人生、目的を持ち幸福を目指す」
最後まで楽しく生きる
1日3回の食事にも気を使いながら、朝はコーヒーの豊潤な香りを味わいながら朝食をとる。その日1日にやるべきことを確認して、その日の活動を開始します。
毎日の心構えとしては、先人の貝原益軒先生の『養生訓』巻八にあるように、「老後はわずかに1日でも、楽しまないで空しくすごすことは惜しまなければならぬ。老後の1日は千金に値するものである。ひとの子たるものは、このこと心にかけて思わないでよいはずはない」と、老後の1日の大切さを強調しています。
1日の時間は生きている我われにとって等しく与えられていますが、老後になると、その時間が過ぎる速さが年と共に速度を増すように感じます。
年齢が増してくると一番大切なものは、改めて考えるまでもなく、「時」ということでしょうし、その時になってみないと実感できないのが人間の愚かさかもしれません。
今の人は、「自分はいつから老人だと思うか」という質問に対して、半分以上の人が「70歳からが老人」との回答でした。国が定めた老人は、65歳以上74歳までを「前期高齢者」、 75歳以上を「後期高齢者」として区別しています。
さすがに老人も70代になると「個人差」が大きくなってくるように思えます。「老人格差」という言葉もありますが、見た目でも同じ70代でもかなり相違がみられます。
特に、若い頃より積極的に活動したり、学ぶことが好きな人は、若々しく見えます。その差は間違いなく、「好奇心」と「意欲」ではないでしょうか。好奇心の旺盛な人は、活動的で何事にも興味を持ち、前向きな生き方をしてきた人に間違いありません。
70代の老人の特権は、24時間の自由時間を持っていることです。その特権をいかして、自分の好奇心を満足させるため、自分が興味を持った事柄について、ゆっくり学んでいくことが老人としての幸せな生き方だと思って実行しています。
そのように幸せな時間を過ごしていく中で老いも進んでいき80代になれば、70代の時のような活動も自然に衰えて来ることを止めることはできません。
ゆっくり体を動かしながら、頭脳は明晰に働かせるために、日々精進して、学ぶ喜びを継続していく覚悟は持っています。
これまでに多くの書籍を収集してきました。引退後に読むために集めた本を紐解く楽しさを十分味わっています。
老人にとって細かい文字が並ぶ1ページを読む作業は骨が折れますが、時間をかけてゆっくり味わいながら読む瞬間を楽しんでいます。知らなかったことを一つ知ることは自分にとっての財産です。