十二支縁起の「縁起」の意味について

十二支縁起の「縁起」という言葉の意味を自己心理学、脳科学の立場から、改めて現代の言葉で語っておきたいと思います。

「縁起」とは「因縁生起(いんねんせいき)」の略であります。

因は、原因であります。縁は、(原因との)関係性であります。

原因となるものとの関係性により生まれ起こってくる「心の働き」が、「縁起」の意味するものであります。

「縁起」という「心の働き」を引き起こすものは、身体の行動に伴い、感覚器官によって知覚される対象となるものであります(例えば、リンゴを手に取れば、リンゴの形、色、香り、味、重さ、歯ごたえ、表面の感触、リンゴの木、リンゴ畑、リンゴ農家の人など、リンゴに結びついた様々なイメージが浮かびます)。

知覚されたものの集合(知覚の束)により、ニューロンの集合から成る無意識的な脳内に、知覚のパターンがいくつも形成され、それらが集まってネットワークが作られます。

そのネットワークが新たなパターンを形成します(例えば、知覚されたリンゴのパターンとして、色のパターン、味 のパターン、香りのパターンなど、いくつものパターンが脳内に蓄えられ、それらが集まってリンゴに関わるネットワークパターンを形成します)。

その無意識的なネットワークパターンを分類し言語化(意識化)したものが、意識的な「概念」となります(例えば、他の果物とは異なる「リンゴ」なるものが、そのネットワークパターンにより識別されます)。

それによって、特定のパターン認識が成立します(例えば「リンゴ」という認識が成り立ちます)。「縁起」とは、意識的な「概念」を成立させる、無意識的な「心の働き」を意味した言葉であります。