通信容量
人間の全受容器から感覚神経を経由して中枢神経系へ伝送される情報量は、10の9乗ビット/秒といわれる。うち、視覚は、10の6から8乗ビット/秒、聴覚は10の4から6乗ビット/秒、触覚は10の6乗ビット/秒といわれる。
一方、中枢神経系から、運動神経を経由して、効果器へ伝送される情報量は、10の7乗ビット/秒といわれる。また、人間の情報獲得の80%は視覚から、ともいわれる[加藤宏,2017]。ヒトがモニターや画面にべったりとなる所以である。
ヒトは環境を認識するのに、圧倒的な割合で、視覚を使っている。また、環境に対する反応の情報量は、感覚よりも桁違いに小さい。ヒトという生物は、環境から多くの情報を仕
入れて、生存・繁殖に有効なものを選んで、環境に働きかけている。
感覚、知覚、認知の違い
受容器官に刺激が与えられ脳に伝えられたものを感覚という。熱いとか、音が聞こえるとかである。
感覚に対象の構造や特徴が加えられて意識されたものが、知覚である。長いとか、強いとか。感覚はその一部が知覚となる。意識に上らないことは多い。あるものは、無意識的な反応として行動に現れる。あるものは、エネルギーを節約するために意識を向けられずにフィルターされる。
さらに、知覚が過去の経験や学習に基づいて解釈されたものが認知である。犬であるとか、母であるとか。認知になると、文化や社会の影響が濃厚に出る。社会の文化によって、虫の鳴き声を雑音と感じるか秋の風情と感じるか、が異なってくる。