第1章

交換留学生として渡米した高校時代

これも後に分かることなのだが、アメリカ人の国旗に対する思いは半端ではない。

United States of America(アメリカ合衆国)は、文字通りStates(州)がUnite(団結して)国をなしているのであって、13本の白と赤の縞模様はイギリスの植民地時代の13の植民地を表し、50の星は現在のアメリカの50州を表している。

まさに星条旗はアメリカ合衆国を一つの国として結びつけるものであり、アメリカ人の象徴である。

だから国旗の取り扱いには特別な注意を払う必要があり、床や地面に触れさせてはいけないと私達の年代のアメリカ人達は学校や家庭で教えられたそうである。

因みにアメリカ合衆国の公立小学校の授業は、学童がアメリカ合衆国の国旗を見て右手を左胸の上におき、アメリカ合衆国とその国旗に対する忠誠の宣誓である「忠誠の誓いThe Pledge of Allegiance」を暗誦することで始まる。

この「忠誠の誓い」は1892年にバプティスト派の牧師であったフランシス・ベラミーにより起草された。

現在この「忠誠の誓い」を学校で暗誦することに対する批判の声も出ているが、2023年現在、アメリカ合衆国50州の内47州の公立小学校で暗誦されている他、国の公式行事の開催の場などでも使われている。以下は「忠誠の誓い」の全文である。

「I Pledge Allegiance to my Flag and the Republic for which it stands, one nation indivisible with liberty and justice for all.」

(私はアメリカ合衆国国旗と、それが象徴する、万民のための自由と正義を備えた、神の下の分割すべからざる一国家である共和国に、忠誠を誓います)

14人の交換留学生は、1970年の8月、羽田空港からアメリカに向けて出発した。当時、アメリカ本土までの直行便はなく、ハワイのホノルルで給油ストップをすることになっていた。

飛行機に乗るのはこの時が初めてだった私は、エコノミークラスの飛行機の左翼がよく見える窓側に座った。離陸して3~4時間ぐらいした頃だったと思うが、窓から外を見ていた私の目に、翼から火花が散っているのが見えた。