人は皆幸せを求めて人生を歩みます。副題の「私は幸せ通り一丁目三番地!?」は謎めいていますね。新しい価値、「人生の番地づくり」を提案しています。これについては本文で少し触れていますのでタイトルとどのように関連するのか楽しみにお読み下さい。「人生の置かれた場を求めて価値を作り共に生きる」ことを常に尋ねる旅です。

本書の願いは、単なる個人の幸せだけでなく、幸せな社会の在り方をも俯瞰的(全体的)に追求することにあります。あなたはどんな幸せづくりをしようとしていますか。どんな幸せ社会に貢献されましたか。この本の行間にある「福祉社会へのまなざし」から、あなたの気づきを探して下されば嬉しく思います。

ある福祉社会科学者の独り言。   

荻野源吾

読後感――読書から学ぶ感性

のんでれ

或る古本屋で『プロカウンセラーの聞く技術』なる書物を見つけました。著者は東山紘久となっています。東山さんは妻の高校時代の同級生で、よく聞いた名前です。

彼は私と近い年齢ですが、京大、カール・ロジャース研究所を経て、京大副学長などを歴任したわが国の臨床心理学の大家でもあります。彼の蒔いたカウンセリングの種はわが国で確実に育っています。

私は地方の当時の国立大分大学で初めての「福祉科学」が創設されて「ソーシャルワーク」の学問的研究に臨みましたが、心理臨床・臨床心理学に比して未だその芽は微々たる感がします。

彼のこの著は何と40万部突破とあります(2017年第1版、78刷)。学術書としてはよく売れたものだと感心させられましたが、なるほど専門技術が分かりやすく解説されています。

内容はプロのカウンセラーに向けた「聞き上手」の指南書です。曰く聞き上手は「相槌を打つ、説明しない、聞きだそうとしない、沈黙と間の効果」などの項目が並んでいます。

そして「あとがき」に「話し方教室」とか「スピーチのしかた」の本が多数出版されているにもかかわらず、聞き方に関しては教室も出版物もほとんどありませんとあります。

ああそうだったのかとまた驚き。この本の初版が2000年ですから今から約23年前の頃のことになります。