2 そして二軒目……
翌朝―。
先日、初雪を観測したばかりだったが、その日も前夜からしんしんと雪が降り続き、朝になって外は一面に純白の装いになっていた。あずみが起きた時には、啓介はすでに出勤していた。
刑事という職業柄、夜中のうちに呼び出しがあることなどそう珍しいことではない。
そんな時、あずみは大抵、翌朝のニュースで義兄が呼び出された事件を知ることとなる。
その日の朝も、居間のテレビのスイッチを入れて、あずみは思わずあっと声を上げた。
「昨夜遅く、M市郊外住宅で一棟が全焼する火事がありました。消防によりますと、午前〇時頃『建物から火が出ている』と近所の住民より警察に通報があり、火はおよそ二時間後に消し止められましたが、木造二階建ての住宅が全焼しました。出火当時、住民は住んでおらず、けが人はいませんでした」
テレビの画面には、全焼した住宅の映像が映っている。
「今回火事があった住宅地域では、一か月前の十一月十三日にも、隣の住宅で火事があり建物が一棟全焼しています。その時は、焼け跡の部屋から一人が遺体でみつかりましたが、警察では前回の火事との関連性もみて捜査する見込みです」
火事というニュースだけでも興味をひいたが、その場所がなんと櫻井氏が亡くなった住宅の隣だという。しかも、今回また火事が起きたことによって、前回の火事との関連性もみて捜査するというのだ。
あずみは早速、真琴に電話を掛けた。真琴のほうでも起き抜けに母親から火事のニュースを聞いていた。
「隣の家はもともと空き家で誰も住んでいなかったのよ。だから、パパみたいに火の不始末とか考えられないでしょ!」
「うん、確かに今回の不審火については、きっと外からのものだよね」
あずみもうなずいた。
「だから、警察でも今回の火事が放火なら、前回の火事も放火だったのだと疑っているはずよ!」