城島が怒鳴りつける。

「何をって、被害者の家に向かおうとしたら特殊の連中が家に入るって聞いたから、途中で打ち切ったんですよ」

「署に戻って来いって指示しただろ!」

「どうせ捜査一課様が出張ってきて仕切ったんだろうから俺の出番はないでしょ。ホシが割れたんですか? 良かったじゃない」

加藤はニヤニヤしながら若手が煎れてくれたコーヒーに口を付ける。

「お前この!」

佐伯は城島の言葉を遮った。

「加藤係長、君は強行犯捜査係長としての自覚に欠け職務を放棄した。勤務規律違反だ。始末書を持ってこい」

加藤は口からコーヒーを吹き出した。

「始末書? 冗談だろ? なんで俺が始末書なんだよ。言われたことをやっただけじゃないか」

「お前、警官としてあの女の子がどうなったか気にならなかったのか? 組織が事件を念頭に置いて動き出しているのに、お前はなぜ自ら指揮系統に入らないんだ。お前は強行犯捜査係長として失格だ。女の子の命よりも大事なことがあったのか? そんなもんあるわけがない。ゴタゴタ言わずに始末書持ってこい。なんなら辞職願でもいいぞ」

「何を偉そうに。警務畑の坊ちゃんが」

加藤はコーヒーを一気に飲み干すと、自席を立ってどこかへ消えて行った。

「加藤どこへ行く! ちょっと待て!」

「ほっとけ。今はホシの逮捕が先決だ」

佐伯は追いかけようとする城島を制止し、ホシ捕りの算段をし始めた。こうして午前九時、城島ら四名が被疑者宅を急襲し、被疑者を逮捕した。発生してから検挙まであっという間のスピード解決だった。

「課長、事件解決おめでとう。刑事部長からも課長の事件指揮が的確だったとお褒めの電話をもらったよ」

「ありがとうございます。女の子を無事保護することができて本当に良かったです」

「これで刑事の連中も課長に一目置くんじゃないか?」

「そうであればいいんですが」

署長室で木下と佐伯は笑った。

「ところで署長、ひとつ懸念事項がございまして」

「なんだ?」

「強行犯係の加藤係長の件ですが、今回の事件で指揮系統に入るのを拒みまして、全く捜査に加わらなかったのです」

「加藤か。昔堅気のデカだからな。手柄を課長に持って行かれたんで悔しいんだろう」

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