ついでに秘薬(よがり薬)についてひと言。
これには服用と塗布用(貝殻に入れてある)の二種があり、効能上から分類すると、強精薬(腎薬)と閨房臨床薬に大別される。
強精薬は「地黄丸(ぢおうがん)」「たけり丸」「膃肭臍(オットセイ)」などがある。
よがり薬とは、閨房臨床薬で、交合に際して塗布または服用するもので、これには催淫剤として「帆柱丸(ほばしらがん)」があり、性感増大剤として「蝋丸(ろうがん)」「女悦丸(にょえつがん)」「寝乱姿(ねみだれすがた)」がある。交合持続剤には「長命丸(ちょうめいがん)」などがあって、よがり薬は男が使用するもので女を絶頂へ導くための薬である。
亀の前が両脚を広く開いているので、膣口が弛るまって空気が入ってしまい、女は政子に向けて怪しからぬ奇音を発してしまった。それでも政子はそ知らぬ表情で励み続けた。
古代ポンペイの壁画には、この態位図が驚くほど多く、「ポンペイ式技法」と呼ばれていたが、中世の暗黒時代になり当時の医者などはこれを「悪魔の様式」とののしり、流産の原因になるなどと唱えた。
この様に足を伸ばして四つん這いになって後ろから攻められると、脚が広く開いているので膣口が緩い感じになり、射出された精液は大概前膣穹窿(きゅうりゅう)へ留り外子宮口が精液と離れやすいので、自然、避妊の役割を果たすことになる。
更には膣内に空気が入り奇妙な音を発することもあり、昔、平定史が本院の侍従とこの態位で臥した際、
「尿口奇音を出だす、屁に似て屁に非ず。貞文おもむろに唱えて曰く、何ぞ糸と竹を必せん(琴も笛も要らない)、尻穴妙音有りと。侍従、急に尻を回して陽を避け、ふたたび背交を背(そむ)かず」
との記録が残っている。この姿勢では陰茎が奥深まで届くので女は長くは絶えられずにすぐに逝ってしまうと言う。
お尻をなぶられ、善がり始めたのを見て、政子はあわてて双方の男茎に「長命丸」を塗り付け、その一方を己の赤く熟れた秘肉の奥深くまでヌメヌメと嵌(は)め込んだ。
(ああン、蕩(とろ)けてしまいそう…… 形代(かたしろ)とはいえ、さすがに上様のお道具……)
更にもう片方は女囚の菊門の入口に向け、双の親指で白桃の谷間をムッチリと押し広げ、背後から、ひよどり越えの姿勢(後背位)をとり、ゆるゆると回転させるようにはめ込んでいく。
「ヒッ…… そ、そこはダメ…… 駄目でございます」
女囚はびっくりしたような声をあげ、キュッと穴をすぼめた。最前とは比べられぬほど大量の愛蜜が前の花門から流れている。それでも政子の繰り出す張形も難なく嵌(は)まり込んで、心地よい抜き挿しと調和して相手に快感を送り込んでいる。