そこで目が覚めました。不思議な夢でした。でも、目が覚めた瞬間に幸せな空気に包まれている感覚がありました。また夢の続きが見られるといいなあ、幸せな二人のストーリーを小説にできるといいなあと思っていたりしています。
第二章 子どもごころ
信じるということ
私たちは人と人との間の関係性の中で生きています。だから人間と言うのですね。人との関わりの中では、それぞれの人の思いがあり、その思いはいつも通じ合うわけではありません。だからこそ、相手が自分の思うとおりにならないと実感するし、その思いの相違からお互いが傷つけ合ったりするのだと思います。そして、その傷は心に残ります。
小児科医の先生が、「子どもはよくけがをしますが、治る傷ならたくさんけがをしたほうがいい。そうすると何をすればけがをするかを自分で知ることができるので、自分を守る術を学ぶことができるのです」とおっしゃっているのを聞いたことがあります。そうすると自由に動き回りながらも、自分を守ることができる。なるほど、そのとおりだなあと思います。
心の傷もまた然りだと思います。治る傷なら心もたくさんけがをしたほうが、自分を守る術を身につけることができるような気がします。
そういえば、柔道には受け身という技術があります。受け身は、負けてもけがをしない練習で、選手は毎日の稽古で当たり前のように取り組んでいます。そして、この受け身が上達すればするほど、強くなれるというのです。うまく投げ飛ばされて負ける練習が大切なのですね。
今の子育てや学校教育は、子どもが傷つかないように、子どもを箱の中に入れて閉じ込めている感じがします。河合隼雄さんが『いじめと不登校』(新潮社、2009)にて「心が傷つかないでどうやって成長するのだ」とおっしゃっていましたが、傷つくからこそ強くなれるのだと思います。ただ、その傷は治る傷のうちに手当てをしなければなりません。