第3章 病気の発見~入院=大きな転換点

緊急入院認知症の確定診断

2013年は大きな転換点を迎えます。母にはかかりつけ医がおり、定期的に受診していました。その医師から緊急の連絡が妻のもとに入りました。

「胸が苦しいとの訴えで診察したところ、『肺血栓』注3 が見つかりました。すぐに総合病院への緊急入院をお願いしました」

妻から連絡を受け、高速道路を飛ばし、病院に向かいました。何かの縁なのでしょう、その病院は父が亡くなった病院でもありました。

到着するとベッドに横たわっている母がいましたが、思いの外元気でした。この際、認知症についても相談し、MRIを使った診察をし、結果、「アルツハイマー型・脳血管型混合認知症」注4 の確定診断注5 を得ました。

入院中は不安になることも多く、持ち前の「ガッツ」で輸液の管を抜去(ばっきょ)するなどし、そのたびに看護師さんから妻に連絡がきていました。

退院と介護保険サービス

ほどなく、退院になりました。この時点では、料理はできず、掃除はなんとかできる状況、その他の基本的なことは自立していましたが、それでも自宅で生活するためには様々なリフォームが必要であり、まずはケアマネと相談しトイレを洋式にする、手すりを付ける、風呂の改修を介護保険で行いました。注6 次にその他の介護保険サービスについて、ケアマネと相談し、①ヘルパーの派遣と②デイサービスへの通所に決まりました。

 

注1:介護保険は住まいのある市区町村に申請し、調査が行われ、市区町村が要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の区分を認定する。数字が大きくなるほど介護の手間(介護の必要度)が高くなる。この区分に基づいて、本人や家族等と相談しながら、介護支援専門員(ケアマネと呼ばれる)が『サービス計画=ケアプラン』を作成する。この計画のサービス量(ホームヘルパーやデイサービスでかかった費用)にあわせて、本人の所得に応じて1~3割を負担する。家族の負担はなし。

注2:既に紹介しているが介護保険法に定められた相談支援機関。高齢者の地域生活に関する課題を「包括的」に対応する。虐待の問題、消費者被害、退院後の生活、介護予防など多岐にわたっている。なおこの機関の呼び名は地域で様々なので役所のHPで確認するといいかもしれない。困った時の「相談窓口」と理解しておこう。

注3:正式には肺血栓塞栓症。よく『エコノミークラス症候群』とも呼ばれたりする血栓の一つ。なおこの治療には「血液をさらさらにする薬(アスピリンなどの抗血小板薬やワルファリン;ワーファリンと呼ぶこともある)などの抗凝固薬など」が使われ、飲み忘れしないように支援することが大切。母はワルファリンが処方された。

注4:2つ以上の認知症のタイプが混合されたもの。

注5:医師が問診、検査などを行い、患者の病名を確定すること。認知症の場合、MRIによる画像診断が重要。例えば、グループホーム入居に関しては原則、認知症の確定診断が求められる。

注6:介護保険には住宅改修のための居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費)、介護用品のレンタルサービスもある。

【前回の記事を読む】「認知症であってほしくない」という気持ちが、認知症の認識を遅らせてしまい…。