第一部 認知症になった母の人生
第3章 病気の発見~入院=大きな転換点
母の本領発揮
始まった在宅での介護。まずはヘルパー派遣。主な目的は、毎朝服用するワルファリンの確認。既に述べたように、血栓の溶解にはとても大切な薬なので、飲み忘れは怖いのです。その管理をヘルパーに依頼しましたが、母からすれば「彼女(ヘルパー)は何もしない。あんな仕事ならば、いらない」と拒否することに。
そしてデイサービス。これも「あんな子どもだましなところには絶対行きたくない」と時間途中で「脱走」。この施設は私の知り合いが相談員をしており恐縮したように私にも電話をかけてきました。「すみません、すみません」
デイサービスは無理かなと思っていましたが、母が気に入った場所がありました。それはリハビリ特化型デイサービス注1。通常のデイサービスとは異なり、お絵かきや書道やカラオケはありません。リハビリに特化したプログラム。データで体力の変化も示してくれます。男性には特に人気があります。
いやなものはいやと「ぴしゃ」というのが母の本領。自分にとって何の意味も感じられないことに関しては強く出る。それができたのも、自宅という、いわばお城があったからなのでしょうか。
この有り様は、我が家での同居介護では大きく変わることになります。ここがおもしろいところです。いろいろありながらも、ADL(日常生活動作)が安定しており、妻と一泊の旅行も楽しんでいました。
注1:リハビリ特化型デイサービスは、3時間単位で運営していることが多い。昼食や入浴の提供がないことが多い。