賞レース
「とったぞー!」
ブドウ祭り品評会
品種ベリーA部門で所属する団体から賞を取った
高級志向になり もはやこの品種の生産者はごくわずか
大したことはないがよいぶどうを作った誉れである
母が倒れて以来 父の農園を助け二十数年
オーナーを引き継いで数年初めて得た賞だ
四月一日生まれのクラスで一番遅い子
先生にお世話をかけずについていくだけの子
学級委員や○○委員などに選ばれたことがない
リレー選手や努力賞もない
何かに選ばれる同級生は私にとって異次元の人
そんな私は選ばれることに慣れていない
都会で仕事をし 週末に田舎に走ってくる兼業農民
黙々と続けてきた
それだけで誰にも負けない勲章だと思っていた
だけど 貰うと嬉しいもんだ 実に嬉しい
時のこだまがあるなら
過去の全部の自分に叫んでやりたい
「とったぞー!」