正の字
会社の仲良し4人組の旅行。私は一番新米でこきつかわれている。
直子が運転する車の助手席で眠ってしまった。私は、3人の声で目が覚めた。目をつぶったまま聞くと、私の話をしている。
私は会社に入りたての時にイジメにあって、それを助けてくれたのは、直子と舞と千枝実だった。会社に行けるのもこの3人のおかげと、3人のためになんでも動いた。恩人だから……。
でも、3人の話はそんな私をあざけり笑うものだった。
「会社つまらなくない? 退屈しのぎにそろそろイジメ開始しちゃう?」
「いいねー。もーこの子、あの時イジメを助けてもらったと思い込んでるもんねー」
「私たちがイジメてたのも知らないで」
「千枝実さぁー、別荘に着いたら私たち眠ったふりをするから、その間にこの子外に連れ出してよ。実は庭に穴掘ってきたの舞と……」
「そこに落として動画とっちゃおー。おもしろそう」舞が笑っている。
「やめよーよ。それはやりすぎだよ」と千枝実だけ止めてくれた。
私は怒りを抑え、眠ったふりをやめて起きた。
別荘に着き、3人に飲み物を渡す。私は眠りが浅いので睡眠薬を持っていた。それを直子と舞の飲み物に入れた。直子と舞は眠ってしまった。少しして千枝実が私を誘ってきた。
予定通りに進んでいる。千枝実は「やめよー」と言ってくれてたから、私は信じた。