特殊愛
私は、人でいっぱいの駅が大っ嫌いだ。なんでかというと、私の事が見えているのか、見えてないのかよくわからないけど、すれ違いざまぶつかってくるから。仕事の日は毎日ムカつく。でも明日は休み。今日も頑張ろう!
次の日
ピピピーピピピー。
アラームの音が鳴り響く。「起きなきゃ……」目覚まし時計を止める。
「そうだ、今日は休みだったー。せっかくの休みなのに早起きしてもーたー」と、ぶつぶつ言いながらトイレに行く。再び布団に入っても眠れない。
私には彼氏もいないし、友達もいない。休みだというのに、予定もない。テレビをつけてチャンネルを何回も変える。見たいものがない、憂鬱だ。冷蔵庫を開ける。何もない。空腹には耐えられないので近くのスーパーに出かけた。
買い物を終えて帰る途中、歩道でダンスをしている人たちがいた。幅いっぱいに広がっていて道を空けてくれないから通れない。しかたなく「すみません。通ります」と言ったら、1人の女の子が睨みつけてきた。なんで私が謝ってるの? なんでこんな顔されなきゃならないわけー、ムカつく……と思いながら、これ以上関わりたくないと思い、違う道で帰ることにした。
プップー、プップー。
クラクションの音。うるさいと思いながら振り向くと、高級そうなスポーツカーから綺麗な女性が顔を出し、手を振っている。
「みなみでしょー? 3年1組、同じクラスだった前川、覚えてる?」
覚えてないけど頷いた。昔のことを懐かしそうに話す前川さん。なぜかこの空気が懐かしい。別れる時に連絡先を交換した。