四 アメリカ第二の故郷

当日、柔道着で学校へ行く途中、街の人たちの反応が半端ない。すれ違う人から車に乗っている人までこの柔道着姿の日本人を見るのだ。注目の嵐だった。

「なんだ、それは?」

と訊かれ、

「柔道着だよ。」

と何度言ってもわかってくれない。

いたたまれず前を行く登校班の列に紛れ込んだ。学校から地域の家を巡る。夕方から夜まで「トリック・オア・トリート」と言いながら、各家の玄関でお菓子をもらう。子どもたちは大喜びだった。持参した袋は、あっという間にお菓子でいっぱいになる。

汗びっしょりになりながらも、みんなやりがいを感じた顔をしていた。

アメリカの子どもたちにとって、「ハロウィーン」は一番大切な行事ではないだろうか。

また、彼らは仮装したまま家に帰ると、今度は家族でハロウィーンパーティーをする。大きなケーキ、チキン、ピザ、もらってきたお菓子。所狭しとテーブルの上にのせられる。仮装したまま踊ったり、追いかけっこをしたりする。親たちはテレビを見ながら談笑する。

「これがアメリカかぁ。」

と思わずにはいられなかった。

ハロウィーンにまつわる事件や事故はアメリカでも報道されてはいるが、アメリカ東部の、この小さな田舎町で、アメリカ人の非日常の生活の一端を垣間見た思いがした。

この小学校の近くには、ペナコックハイスクールという高校があった。

「高校でも日本のことを紹介してくれないか?」

という声が聞かれたので、早速行ってみた。その高校の校舎に入ると、

「生徒がでかい!」

というのが第一印象だった。一メートル八十センチ以上ある生徒が普通に何人もいた。廊下には、ロッカーが立ち並び、みんなそこでいろいろと話をしている。そこを通ると、ジロッと見られる、その視線の冷たさに冷や汗がにじみ出る。

高校一年の授業で、日本人の宗教について話をした。簡単な自己紹介の後、

「あなたは神を信じますか?」

と訊いてみた。反応がない。