「北の春告げ花」
北の空に光がさして
ぬかるみが地に広がっていく
白い雪のそこかしこから
緑の葉がおずおず顔出し
花のつぼみが頭もたげる
北国に咲く春告げ花
重い雪に覆われた
冷たい大地に根を張って
ほんの少しの死のほころびに
芽吹く針先ほどの生の息吹
南の地では 冬でも雪がないらしい
行ったことない 遠い国
陽光注いで 大地は温まり
あふれる天と地の恵み
絶えることなく 地を満たす花
寒さにおびえることのない
人々は どんな顔で笑うのだろう
子供心に憧れた 色鮮やかな南国の花
まだ雪香る今思い出す
凍った大地に咲く花は
陽光満ちる土地に咲く
花ほど鮮やかではないけれど
やっと春が来たと待ちわびる
人々の想いで光を放つ
僕はこの地で生き続けよう
花が咲いたと呼ぶ声が聞こえる
僕はこの地で生き続けよう
春を喜ぶ友の笑顔が見える
もの死に絶える冬が永いから
わずかな春を大切にして
僕らはこの地で生きている
だから
僕はこの地で咲き続けよう
冬が永くて春が見えなくても
わずかな温もりに咲く
春告げ花のように
この地に暮らすみんなの顔に
笑顔の花を咲かせたいから
みんなで春を 迎えたいから
雪残る大地に りんと立つ
北国に咲く 春告げ花