【物語詩】で届ける不思議な世界
「魔女の子ケイティー」
子供がほうきにつかまって ケイティー行けない
大弱りケイティー 困って地面に降りる
子供を降ろして 怖い顔
使い魔よそ向き 知らんぷり
あんた あたしが怖くないの
一度 蛙にしてやろうか
そしたら すぐに蛇のえさ
子供が何か言おうとしたとき 遠吠えの声 闇夜に響く
ケイティーあきらめ ため息をつく
子供にも一度 呪いをかける
ヒトの気配を消す 魔法
ぐずぐずしないで ほうきに乗って
あんたの家まで 送ったげる
かぼちゃ頭は はずさないで
子供喜び ほうきにまたがる
そのまま 地上にさようなら
夜空は一面 お星さま
魔女と黒猫 かぼちゃ頭
月のない空 冷たいけれど いつもは寒い背が 温かい
星はきらきら さざめいて 夜の秘密を ささやいている
ケイティー 子供に場所聞いて 村はずれに 子供をおろす
零時の鐘が ごぉんと鳴る
さあ着いたわ 帰りなさい
ハロウィーンはお終い 魔族も帰る
魔法の時間も もうお終い
ケイティー 使い魔呼び寄せる
星の光も 遠くて弱い
ケイティー ほうきに乗ったとき 子供ごそごそ ローブをさぐる
何かつかんで ケイティーに
トリック・オア・トリート!
ねぇ言ってよ トリック・オア・トリート!
ケイティー びっくり口ごもり
意味分からず 口にする子供
ローブのポケットから キャンディー取り出し ケイティーの手に ぽとんと落とす
魔女のいたずら 怖いから
トリートあげなきゃ これでかんべん
ケイティーぽかんと 手の中見つめる
お菓子もらったの 生まれて初めて
子供 かぼちゃの目の奥で にっこり笑って 手を振って 村の小道を歩き出す
そうそう 僕も言ったよ トリック・オア・トリート
だからまた来て お菓子ちょうだい
そう言い 小道に消えていく
バタンと閉まる ヒトの子の家
ケイティー キャンディーしまいこみ 静かに空に 浮かび上がる
魔女の子ケイティー 猫とキャンディー
夜空はきらきら 星の歌
パン種 美味しくする呪い どこかの本になかったっけ
ハロウィーン終わった 静かな空で
魔女の子ケイティー 考えていた
(「魔女の子ケイティー」 おわり)