【物語詩】で届ける不思議な世界

「砂漠に咲く花」​ 

翌朝 あきらめて外に出る

皆花つけてます ハイハイハイ

だけどどうしよう 匂いまでする

花屋に入ったときの あの緑の香り

電車の中に 満ち満ちている

会社は いっそうひどかった

小さな花が たくさんついてる

と思ってよく見たら 服の布地から

花いっぱいの枝が 何本も伸びていた

思わず顔見たら 笑顔であいさつされた

そう なんだかもう認めるしかない 

おっさんに 可憐な花が咲いている

笑顔を作ると 花が活き活き

てことは上司もと 見やると

相変わらずの むっつり顔としおれた花 

もっと笑えばいいのにね と

思いながら 隣を見ると

何故か 一つも花が見えない

他にも 花がない人がいるけど

これって どういうことなんだろ

仕事しながら 誰かれ眺める

大人しい女性が 花は派手だったり

自慢したがりの男が 地味だったり

なるほどねとか 意外だなとか

人の裏見てるようで 結構楽しい

むかつく上司だって 今なら余裕だ

だって 今叱られてるあいつの方が

よっぽど 綺麗な花つけている

そういう俺の花は まだ見えない

見たいような 見たくないような

帰りの電車も 退屈どころじゃない

柄の悪い兄ちゃんにだって うっかり

にっこり 笑いかけそうになる

慌てて目をそらせば また別の花

下手なドラマより おもしろい