「独りの小鳥」

花咲き乱れる 花影で

小鳥が一羽 鳴いています

るりるりるらら るりるらら

花に埋もれて ひっそりと

小鳥が一羽 鳴いています

新緑輝く 木の枝で

小鳥が一羽 鳴いています

るりるりるらら るりるらら

緑に隠れて こっそりと

小鳥が一羽 鳴いています

紅葉映える 葉の奥で

小鳥が一羽 鳴いています

るりるりるらら るりるらら

葉ずれにまぎれて ひっそりと

小鳥が一羽 鳴いています

花も葉もない 裸の木

小鳥はどこで鳴きましょか

枝の間で鳴きましょか

梢の先で鳴きましょか

いえいえ 風が痛いでしょう

隠れて鳴いてた 独りの小鳥は

遠くを目指して 空を飛ぶ

青いお空に まぎれるために

独りの歌を 歌うため

るりるりるらら るりるらら

花咲き乱れる 木の枝に

小鳥が一羽 とまっています

風はそよそよ 花揺らし

独りの小鳥は ふんわりと

音のない声で 歌っています

【前回の記事を読む】詩集「まかろんのおもちゃ箱」より三編