≪現場からはずされ、仕事に行けなくなったFさん≫
新卒入社で建築の現場管理の仕事に就いた。当初は先輩に付いて現場で仕事を覚え楽しかった。1年ほど過ぎ、別の現場に配属になった。前の現場と違い、業務自体も多くよくわからないところもあった。残業も多く深夜に帰ることも珍しくなかった。
上司は、前の先輩と違って、どんどん仕事を投げてきて
「まだできないのか?」
と言われることもあった。過労が続きパフォーマンスも落ち、ミスを出してしまった。すると別の会社の作業員もいる中で、
「オマエ! なんで発注した物がまだ届いていないんだよ! オマエのせいでみんな困ってるんだぞ! なんで早く確認しないんだ! 全く、使えないヤツだな!」
と、きびしく責められた。
(こんなにがんばっているのに!)(でもミスをした自分も悪いし……)身も心もボロボロになった。でも何とかがんばろうと寝不足の体を引きずり出勤していたが、翌週その現場から別の現場に移るようにメールが入った。
翌日から朝起きられない、動けない、とても出勤できず休ませてもらった。その後も何かする気力が出ない、気持ちが沈む、よく眠れない、食欲もない、1週間自宅で寝ていたが、心配した本社の上司が自宅を訪ねてくれ、産業医に相談するように言われた。
これらは深刻なケースです。誤解をおそれず「自殺に至ってしまうかもしれない」としましたが、ほとんどの場合入社すぐではなく、半年から1年後くらいの話です。ある程度仕事ができるようになり、2つ目か3つ目の案件で残業や理不尽と思える要求、時にパワハラ、現場での孤独などに見舞われ、ある時こらえきれず症状が出てきます。
入職当初の成功体験があってか、ボロボロになりながらもがんばります。そしてその案件が終わるあるいははずされるなどで、とりあえずその仕事は一応区切りがつくのですが、そのあと抑うつ症状や身体症状を呈し、職場に行くのがつらい、職場に行けないという状態になります。