第6章 働くことは複雑になっている

労働形態の二分化

しかし労働契約的に、この仕事でこの賃金、その他条件は何々、それに納得して契約すると、他の人はどうあれ契約は契約で、その契約した人の自由ということになります。

入ってから理不尽に気づいても後の祭りで、イヤなら辞めるしかありません。

原則、業務内容が明らかで賃金や待遇に納得すればよいことになります。それは総合職や一般職、本社採用と地域限定社員なども同じで、働くほうとしてはそれなりの割り切りが必要となります。

働き方改革、労働基準法改正等を経て、同一労働同一賃金が掲げられ契約社員には有利になった面もありますが、前述の下級社員として固定化される人には関係ありません。

そしてまた、最近は契約社員から正社員への変更を希望しない人もいます。

「契約社員で5年たち正社員になったけれど、お給料は目減りし、主任も任され上からの要求も多くなって結局退職した先輩を見ていると、正社員にはなりたくありません。私、このままでいいです」、決まった仕事をしているほうが気が楽だと言うのです。

労働形態の二分化には、賃金や期間の契約の他に業務内容という別の側面もあります。

職種による二分化

労働形態の二分化のほかに、高度経済成長の頃から徐々に出てきたと考えられますが、事務職と専門職・技術職の二分化があります。

農林水産業の生産者や工業の製造者とそれを売る人という構図から、売るという中に多くの経済活動が入り込んできて、その必要に応じ専門技術職も入ってきました。

より多くより安く、より利益を多く売ろうとするので、多くの工夫が入ってきます。工場や店舗の建築、機械、電機、システム、IT、広告等々、サービス業がサービス業を生んで、今やあらゆる経済活動の中に専門技術職が存在します。