【前回の記事を読む】大学の医学部はどこも同じ?進学先の医学部を決めるときに大切なこと
2 医学の分かれ道
③大学の医学部はどの大学も同じ?
以前からよく話題になることに、中央の行政に関わりたいなら、東京大や慶応大をめざすのが好ましい、とされています。国の行政機関にその大学の先輩方が多くおられます。その人脈にそって中央の行政に関わる機会も多いのだと思います。
私自身も大学で長く勤務していましたので、文部科学省や厚生労働省の係官と話し合う機会が数多くありました。多くは医師ではない、純粋の行政官でしたが、一部医師の方もおられました。その多くが東京大や慶応大のご出身でした。
東京に近いこともあるでしょうが、なにより同大学出身の先輩方が数多くおられます。やはり出身大学の人脈の効果はあるのだな、と感じたことがしばしばありました。その意味でも、伝統のある大学に入ることの意義はある、と言われるゆえんだと思います。
ただ医学の道を進みたいという強い希望があるなら、入学の難関な大学よりは、医学部をもつ比較的入学しやすい大学を選ぶのも、賢明な選択と言えるかもしれません。
入学の偏差値でみると、地方の大学医学部は、都会の大学と比べると比較的偏差値が低く、入学しやすいようです。このような地方の大学に着実に入学して、数年間の学生生活を、その地方でのびのびと過ごすのも悪くないと思います。
またこれらの医学部のある大学の多くは、総合大学の中に医学部があります。これまで医科単科大学も多かったのですが、それらの多くは、近くにある国立大学に併合されて、総合大学に組み入れられてきました。これにより、入学後に他の学部の学生と交流を深めたり、医学部以外の広い領域の学習を選択できる利点があります。
総合大学の利点を生かした、広い教養学を学ぶことができます。他方、国立大学でも周りに適当な大学がなく、医科単科大学として残った旭川医大、浜松医大、滋賀医大と、多くの公立大学があります。そこでは医学部単独での教育体制が引かれています。また私立大学でも医科の単科大学も数多くあります。
このような単科大学では、医学専門教育を早期からじっくり受講できる、という利点があります。また周囲の大学と上手に連携をとり、教育などを共用している大学も数多くあるようです。従って一般教育課程で、十分な教育を受けられないのでは、といった心配はありません。
いずれにせよ大学の名称をみれば、総合大学かそれとも医科大学かの区別はすぐにできます。大学の選択の上でひとつ付記しておきます。