【前回の記事を読む】医学部教授のアドバイス「医療現場に携わるのは医者だけではない」
2 医学の分かれ道
- ③大学の医学部はどの大学も同じ?
入学しようとする大学の選択は、極めて大切です。医学部を設置している大学は2021年現在で82校あります。大学によってそれぞれ医学部に特徴があります。
特に歴史ある大学では、最先端の研究分野をいくつかもっています。そこには国の大型研究費に恵まれていて、優れた人材が集まります。また大学内の人脈に恵まれた環境下で仕事をすれば、将来のキャリアを描く上でも、有利になる場合もあります。
一方地方の大学に進学すると、医者不足解消や地域の医療を充実させることにも、主眼がおかれます。地域枠が設定されていることも多く、その枠で入学すると、その地方での一定期間の就職を促されることがあります。これも貴重な経験となります。
いずれにせよ、入学前の大学選びが、将来の進路に大きく影響することになるので、志望大学選びは非常に重要です。大学選びについては、その道の専門書を参考にしてください。大学の知名度や難易度だけにとらわれず、大学卒業後の進路も見据えた上で、入学する大学を決めてほしいと考えます。
以前は学力のある学生は、東京大や京都大等の名門校に入学することが、あこがれとなる傾向がありました。ただ最近では、有名大学よりは地方の大学医学部に入学することの方が、好まれているとも聞きます。都会にある大学は、学生の人気が高くて入学は厳しく、逆に地方の大学は比較的入学しやすい傾向はあります。
国公立の大学はその歴史的な背景から、いくつかにクラス分けされています。
まずは東京大、京都大、大阪大、東北大、名古屋大、九州大、北海道大の7つの旧帝国大学があります。次いで旧制医科大学として、千葉大、新潟大、金沢大、岡山大、長崎大、熊本大、および京都府立医大が挙げられます。さらには旧医科専門学校として、国立12大学と公立7大学が挙げられます。最後は新設医大として、17の大学があります。その他に私立大学医学部もあります。このランクに合わせて、文部科学省から種々の予算が計上されています。