私は幼少の頃、長崎に住んでいました。長崎出身の高校生で優秀な人達は、長崎大に進学して自宅から通う人もいました。また希望に胸を膨らませて、九州では最難関とされる九州大、さらには全国でも最難関の東京大に進学を目指す人たちもいました。

同様に札幌で勤務していた時に耳にしたことは、札幌在住の優秀な高校生は、まずは北海道大を目指します。一部は東大を目指していました。この傾向は、それぞれの地区別に地域の大学か、それともより中央にある著名な大学か、の選択があるのでしょう。

その点で東京大は、全国から優秀な学生が集まります。東北大、京都大、名古屋大などにはそれぞれの地方出身の学生の割合が多いですが、全国から集まってくる学生も相当数あります。学生の都会への憧れも、影響していると思われます。大学入学試験で示される難易度の偏差値をみると、この傾向がよくわかります。また大学に入学する出身地を聞くと、どのような地域から好まれて入学してきているか、もある程度わかります。

大学の中でも高校生の修学旅行の対象となるところに、私の長く勤務していた北海道大があります。キャンパス内にイチョウ並木やポプラ並木、総合博物館など、いろいろな観光スポットがあります。修学旅行生かと思われる団体を、キャンパス内でしばしば見かけます。このような広々とした恵まれた環境で勉学したい、と全国から学生が集まってきます。

一部の学生は修学旅行でその大学の魅力を感じた、と語ってくれます。その学生の印象は大切にしたいものです。

ただ一部の進学校の修学旅行の引率教員が、「確かに広々とした大学やけど、力があるならこの大学ではなく、××大学に進学しなさい」と語っていると聞いて、悲しくなりました。高校の評価を高めるために、進学指導をするのではありません。自分自身の将来のために、魅力ある大学を選ぶことを忘れないでください。