特殊愛
次の日、初めてのデート。待ち合わせの場所に、少し早めに着いた。まだ彼は来ていなかった。
しばらく待っていると、背後に何かを感じた。振り向くと高橋さんがいて驚いた。いつからか背後に人がいると、恐怖を感じてしまう。震えている私に、高橋さんが
「小森さん、ごめんよ」
と謝ってきた。
映画を観てから食事をして、あっという間にもう帰る時間。帰る方向が一緒だから、同じ電車に乗る。私が降りる駅で電車の扉が閉まる瞬間、彼が手紙を渡してきた。家に着き、急いで手紙を読んだ。
小森さんへ
今日は、ありがとう。
あなたの全部が可愛いです。
あなたのことがずっとずっと好きでした。
僕と付き合ってください。
お返事は、次の日曜日に聞かせてください。
今日もありがとう。愛してます。
高橋優
大好きな人から、告白された。頬をつねった。現実だ。彼に心配をかけないようにLINEを送る。
『初めてLINEします。無事家に着きました。今日は本当に楽しかったです。おやすみなさい。』
『こちらこそ、本当にありがとう。また明日ね。おやすみなさい。』
ドキドキが止まらなくてなかなか寝付けない。でも、知らぬ間に眠ってしまった。
目が覚める。遅刻だー! メガネのまま出てきてしまった。電車で彼に会ってしまったらどうしよう……と、思いながら駅のホームへ。ホームは、人がいっぱいだ。すれ違いざまぶつかってくる。久しぶりの感覚。やっぱりメガネをかけた私は、こういう扱われ方なんだと実感した。とにかく急いで電車に乗った。
周りを見渡すが彼はいないようだ。後ろに人の気配を感じ振り返ったが、誰もいない。よかった。
始業10分前に会社に着いて、トイレでコンタクトをする。トイレから出ると、スマホのバイブが鳴って画面を見ると、彼からのLINEの通知だった。始業に間に合わないから、あとで見ることにした。お昼休みにを見ると4件入っていた。
8:55 おはよう。メガネの小森さんも可愛いよ
9:55 やっぱりコンタクトも可愛いね
11:48 小森さんの全てが可愛いよ
12:30 今、僕は食堂です
えっ……メガネの事、なんで知ってるの? 今日は、忙しくて食堂に行く時間がない。どうしよう……。