同窓会当日。私は、初めて買ったワンピースで行くことにした。会場は、オシャレなお店。場違いな感じもしつつ、会場に入る。みんなが私を見て、ざわつく。
「小森さん久しぶりだね」
「小森さん。私、相澤さき。覚えてる?」
「小森さん、素敵なワンピースだね」
「コモリさん、俺、佐々木裕太、覚えてる? 会えてうれしいよ」
小森さん、小森さん、小森さん……。こんなに名前を呼ばれたことないから、すごく嬉しかった。前川さんが私のところにきた。
「小森さん、今日は来てくれてありがとう。コンタクトに変えたんだね。この前は、メガネをかけてたから。すごく素敵だね」
と言ってくれた。みんなの名前や声、顔を見ても、前川さん以外誰もわからないけど、何も思い出せなくても、ここの場所に来てよかったなと思った。
年配の女性がこちらに近づいてきた。アルバムで見ていたから担任の先生だとわかった。先生は私の顔を見て泣き出した。
「小森さん何もしてあげられなくてごめんなさい」
と言ってその場から去ってしまった。何で泣いているのだろうと思っていると、前川さんが来て、先生は認知症だと教えてくれた。でも名前は覚えていたからなんか変だ。