「金木犀」

朝起きると きらきらお陽様 

ほのかに香る風が 窓の外に踊っていた

金木犀の花よ、と言って 君は笑った

ほんのわずかな期間しか咲かないの

起き始めた住宅地を 隅々まで

けど決して押しつけるでもなく

ただ陽の光のように 空気のように

静かに覆って香る小さな花

ビルの立ち並ぶ街では

かき消されてしまう 

はかない香り漂う小さな町へ

君が待つ場所へ 帰ろう 

陽の光と この花の香が似合う

やさしい君の元へ 帰ろう

【前回の記事を読む】詩集「まかろんのおもちゃ箱」より三編