第二楽章 苦悩と悲しみの連鎖

Ⅰ 家族を守れなかった悲しみにくれて

「ようやく、先に逝かせてしまった両親、妻、子どもたちのところへ行けるのか。随分と待たせてしまったなあ。待っていてくれ! 近々、参るぞ。

どんなに会いたかったことか……。いっときたりとも、忘れたことはなかった。ひとり生き残り、残されたものとして恥じぬよう、俺は精いっぱい生きてきたつもりだ。認めてくれとは申さぬ。ただ、共に過ごし、笑って、何気ない日常を過ごしたかった。あたたかな時間をともに感じたかった。

長い間、さびしい想いをさせてすまなかった。これからは、ずっと一緒にいてくれるか。この俺と一緒に。あと少し、あと少しの辛抱を頼む。もうすぐ、そちらへ行けると思うから。どうか、待っていてほしい。両手を広げて、俺は走っていく! そなたたちのもとへ」

お侍さんの「家族を守りたかった」この想いは、魂に深く刻まれたのでしょう。

その想いをなんとしても(かな)えるために、また地上で体験するため、新しい命として誕生することになったようです。そして、(あお)()という女性として、ある両親のもとで生を受けました。