【前回の記事を読む】トヨタ、日産、ホンダ…国内の自動車メーカー「将来の展望」

車社会の行く末はどこ

車の排ガスと川の臭さにまみれた東京 中国は今まさに60年前の日本

昭和30年代、40年代は今では考えられない車の排ガスで東京の空は本当に汚かった。私の地元東京墨田区では、コロナの影響で2年続けて中止になったが、毎年隅田川花火大会が開催されている。しかし、実は隅田川が汚く、また臭くて長い間中止になっていたことは若い人は知らないだろう(昭和36年~昭和52年まで不開催)。

この川の汚濁と空気の汚染は大変な問題で、どちらも原因は上流の工場排水と車の排ガスとはっきりしているのに、今ではあまり聞かれなくなった“公害”というあやふやな言葉で国民みんなにも責任の一端があるようなイメージを負わされていた。

その後、川はきれいになり、臭いもなくなり、現在では隅田川には魚も住めるようになって空気もきれいになった。今はきれいな排ガスのクルマは当たり前であるが、モータリゼーションの花が蕾であった昭和40年頃、また急激に開花した昭和45年頃はマフラーから黒や白の排ガスを出すクルマも平気で走っていた。まさに最近までの中国を含めたアジア各国でよく見かける光景である。

私は何度も北京に行っているが、中国の古いアパートは室内の暖房をするために部屋の中に温水を通す。この温水を作るために燃やす石炭の煙とクルマの排ガスで、本当に100mの先も見えないことがよくあった。

中国であれば、これらの問題をどの国よりも早く解決しようとするのは不思議ではないし、国の方針は絶対なので私たちが想像するよりも相当早く解決してゆくのであろう。ガソリン車販売禁止の方針もあっという間に決まった。