【前回の記事を読む】「だから、僕は、これで良かったんだと思う」パパの死を受け息子は

酔っ払い操縦法

パパは酔って帰ってくると、とても面倒くさい。良くも悪くも手がかかる。夜の十時頃帰ってきて絶好調で話し始める。「早く寝て」といつも、私に怒られて寝る。こんなパターンをよく繰り返す。それが、時々パターンを変えて、お土産を持って帰ってくる。

飲んで帰ってくることを良しとしない私をけん制するかのように「今日はお土産付きだぞ、文句言うなよー」みたいな感じだったのかな。取りあえず、お土産となれば、ありがとうくらいは言いますからね。いつもの、「早く寝て」みたいな言葉がトーンダウンしてパパとしては良い気持ちで寝られそうな気分にでもなったのかな。

しかし、テンションが高すぎると始末が悪い、夜遅くに帰ってきてお土産のケーキを「尚子ちゃんが美味しいって食べるところが見たい」「今すぐ、食べてくれ」なんて言い出して。「もう遅いから、明日食べるから」と言っても聞き入れなくて食べる羽目になったり、子供に食べて欲しくて買ってきたのに「パパが全部食べるから」とか言って子供をかまう。

結果、飲んで帰ったら、一言も喋らなくていいから黙って寝るようにと、私に因果を含まされる。気の毒なようだが、これが私の酔っ払ったパパ操縦法だった。何度も何度もこの方法を適用して酔っ払いから身を守っていた。

お酒、特にビールをこよなく愛する人でしたが酔うと前後不覚になって、大変になるので色んな手段を考えた。お酒のことに関しては最後まで苦労させてもらったと思っています。

ダブルベッド

結婚した当初はダブルベットで寝ていた。子供が一人、二人と増えるにつれて床に布団を三枚、四枚と並べて敷いて四人で寝るようになった。私の右側が将太、左側に雄太、その向こうがパパだった。雄太は小学六年生頃に自分の部屋に行って寝るようになったが、将太は中学二年生頃まで一緒に寝ていた。

二人とも自分の部屋に行ってパパと二人になった時、やっぱりベッドのほうが楽だよねという事になって、どんなベッドにしようか相談した。パパはダブルベッドがいいんじゃないかと言っていた。そんな時に、たまたま遊びに来ていたいとこが、一緒に寝るのも疲れるから別々のほうが楽だよと教えてくれた、そうなんだと特に不思議にも思わず納得してシングルベッドを二つ買うことにした。

パパはダブルが良いのになーなんてブツブツ言ってたので、買った当初は二つ並べて使っていました。それが段々と離れて行って最後は向きまで変わっていましたね。その時の話をいとこにすると、そんなことあったっけ? と忘れていたようだ。それは申し訳ない事をしたね、なんて言ってくれたけれど、今になると別々で寝ていてよかったと思っている。

一人でダブルベッドに寝なくて済んだからね。