雄太へ
パパの想い
雄太にとってパパは、どんな存在だったんだろうか。憶えていないかもしれないけれど、愛されていたと思います。まだ整理ができていない写真を見たら気が付くかも。いつも、抱きしめて頬ずりしている姿が見えると思います。いつの頃からか対立し始めて、高校時代は最悪でしたね。
ママにも責任があると思っていたけれど、雄太の気持ちになかなか寄り添えなかった。そんな中でパパが亡くなってしまい、雄太は、とても複雑な思いを持ったのではないだろうか。その時の気持ちは今も聞けていない。いつか、話してくれるだろうか。聞かないとダメだよね……それはそうと、今書きたいのはお葬式の時のこと。
斎場で係の人に
「喪主はどなたがなさいますか」
と聞かれた時のことです。ママ、雄太、将太と、三人で並んでいたところで聞かれたと思います。間違いなくママだなと覚悟していた。チラッと横を見た。雄太は真っ直ぐ前を向いていた。ママの顔を見ることもなく
「僕がやらせていただきます」
と言った。ものすごく驚いた。今でもその瞬間は鮮明です。ママの気持ちは
「大丈夫なの、どうしたの」
というのもあったけれど
「チャーちゃん(私の姉)に何か言われてるかな」
みたいな想像力が働いて、甘えさせてもらうことになる。そこから、雄太はお葬式の段取りやお焼香に見えた方の挨拶など、ママと一緒に頑張ってくれた。特にお通夜、葬儀の喪主の挨拶は紙に書いたものを読んでも良かったのに、きちんと憶えてやりましたね。ママもそうだけど斎場の人も
「紙を見て読んでいいですよ、緊張するから暗記しなくていいんですよ」
って何回も言ってくれたけど、
「大丈夫です」
って言って一生懸命に憶えていたことを思い出します。色んな人が雄太を誉めていきました。申し訳なくもあり誇らしくもあり感謝しています。あの時、どうして喪主を引き受けてくれたんだろうか。まだ聞けてないね。いつか、聞かないと、と思いながら五年もたってしまった。